生物?環境
耐性菌を防ぎつつ人体や環境に有害な微生物集団を除去する方法を発見 ?生物由来の界面活性剤を組み合わせて除去効率が向上?
国立大学法人狗万app足彩,狗万滚球 生命環境系 Utada S. Andrew准教授、野村暢彦教授らの研究グループは、細菌がバイオフィルムを形成しやすい環境を模倣したマイクロ流路デバイス)を用いて、環境に優しい生物由来の界面活性剤と、バイオフィルム除去に一般的に使用されている石油化学製品の界面活性剤を組み合わせることで、除去効果が劇的に向上することを発見しました。
細菌はバイオフィルムを形成して生存していますが、人間にとってはさまざまな疾患をもたらす可能性があり、これを除去することが重要です。しかしながら、細菌を死滅させてしまうと、耐性菌の出現が問題になります。そのため、細菌を殺さずに、バイオフィルムを除去することが必要です。バイオフィルムを除去する方法の一つとして、界面活性剤の利用がありますが、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS)などの一般的な界面活性剤は人工的に合成された石油化学製品であり、多量に使用すると環境に影響を及ぼします。そこで本研究グループは、環境に優しい生物由来界面活性剤として、酵母由来のソホロ脂質(SLx)の抗バイオフィルム活性に着目し、その緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対するバイオフィルム除去効果を調べました。その結果、SDSなどと比較して、SLxは優れたバイオフィルム除去効果を持つことを見いだしました。しかも、SLxは細菌を死滅させませんでした。そのメカニズムを詳細に解析したところ、SLxは、細胞とガラス表面との接着およびバイオフィルム内部の凝集性を減弱させることがわかりました。さらに、SLxとSDSを組み合わせた相乗効果によって、それぞれを個別に作用させた場合に比べて、100倍以上も向上することを発見しました。これらのことから、生物由来界面活性剤と石油化学製品の界面活性剤を併用することで、バイオフィルムを除去するためのコストおよび界面活性剤の使用量を削減できることが示唆されました。
図1. マイクロ流路におけるバイオフィルム形成
(A) マイクロ流路のモデル図。(i)は細菌の植菌、(ii-v)は異なる濃度の界面活性剤の挿入口、(vi)は排出口を示す。
(B) 培養開始から12時間後のバイオフィルムの共焦点顕微鏡画像。蛍光染色したDNAを緑で表示。
細菌はバイオフィルムを形成して生存していますが、人間にとってはさまざまな疾患をもたらす可能性があり、これを除去することが重要です。しかしながら、細菌を死滅させてしまうと、耐性菌の出現が問題になります。そのため、細菌を殺さずに、バイオフィルムを除去することが必要です。バイオフィルムを除去する方法の一つとして、界面活性剤の利用がありますが、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS)などの一般的な界面活性剤は人工的に合成された石油化学製品であり、多量に使用すると環境に影響を及ぼします。そこで本研究グループは、環境に優しい生物由来界面活性剤として、酵母由来のソホロ脂質(SLx)の抗バイオフィルム活性に着目し、その緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対するバイオフィルム除去効果を調べました。その結果、SDSなどと比較して、SLxは優れたバイオフィルム除去効果を持つことを見いだしました。しかも、SLxは細菌を死滅させませんでした。そのメカニズムを詳細に解析したところ、SLxは、細胞とガラス表面との接着およびバイオフィルム内部の凝集性を減弱させることがわかりました。さらに、SLxとSDSを組み合わせた相乗効果によって、それぞれを個別に作用させた場合に比べて、100倍以上も向上することを発見しました。これらのことから、生物由来界面活性剤と石油化学製品の界面活性剤を併用することで、バイオフィルムを除去するためのコストおよび界面活性剤の使用量を削減できることが示唆されました。
図1. マイクロ流路におけるバイオフィルム形成
(A) マイクロ流路のモデル図。(i)は細菌の植菌、(ii-v)は異なる濃度の界面活性剤の挿入口、(vi)は排出口を示す。
(B) 培養開始から12時間後のバイオフィルムの共焦点顕微鏡画像。蛍光染色したDNAを緑で表示。