生物?環境

寄主の翅上げ行動が内寄生性昆虫ネジレバネの脱出を可能にする

研究イメージ画像
(provided by Kazumu Kuramitsu)
 ネジレバネ類のオスは幼虫期を寄主体内で過ごし、成虫になる際に寄主から脱出して自由生活を始めます。本研究では、これまで脱出方法が未解明だったカメムシ類に寄生するネジレバネのオスの脱出を観察し、寄主の翅(はね)上げ行動の際に露出した腹部背面から脱出することを発見しました。

 ネジレバネ目の昆虫は全種が昆虫の寄生者で、1齢幼虫のときにハチ類やカメムシ類などの寄主に侵入して寄主体内で成長します。ネジレバネのメスは成虫になっても寄主体内にとどまりますが、オスは成虫になる際に寄主の体から脱出してメスの探索を開始します。この「寄主からのオスの脱出」は、これまで3種のネジレバネ類で観察?報告されてきましたが、いずれもスズメバチの腹部をはじめとする、寄主の体のうち外部に露出した部位から脱出する種に関するものでした。一方で、カメムシ類を寄主とするカメムシネジレバネ科のネジレバネ類では、オスの脱出部位が寄主の翅(はね)に覆われる場所に位置しており、寄主の翅が脱出の妨げとなる可能性があります。したがって特異な脱出方法を有する可能性がありましたが、実際の寄主からの脱出行動は報告例がありませんでした。

 今回、カメムシネジレバネ科の一種であるナガカメネジレバネのオスについて、寄主であるホソコバネナガカメムシからの脱出行動の観察に成功しました。その結果、ナガカメネジレバネのオスの脱出時に、寄主が翅を延ばして上げ下げすることを発見しました。この行動によって、通常は寄主の翅により覆われているオスの脱出部位が一時的に露出することで、オスの脱出が可能になっていると考えられます。

 この発見は、ネジレバネ類における寄主範囲の多様化と、それに伴う各種の寄主利用戦略の特殊化を理解する上で重要な成果です。

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プレスリリース

研究代表者

石川 夏帆 生物学類 4年次(研究当時)

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藏滿 司夢 助教

掲載論文

【題名】
Host wing-raising behavior enables emergence of Blissoxenos esakii (Strepsiptera: Corioxenidae) from a site covered by the wings
(寄主の翅上げ行動は、翅に覆われた部位からのナガカメネジレバネBlissoxenos esakii (ネジレバネ目:カメムシネジレバネ科)の脱出を可能にする)
【掲載誌】
Entomological Science
【DOI】
10.1111/ens.70015

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