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北大西洋ヨーロッパ域と熱帯起源の大気の変動が日本の冬の寒さを左右する

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 遠く離れた北大西洋ヨーロッパの大気循環と熱帯インド太平洋の対流活動それぞれの位相の組み合わせによって、日本付近の冬の寒さが大きく変わることを明らかにしました。二つの影響が強め合うと寒波が強まりやすく、打ち消し合うと日本への影響は弱くなります。

 冬季の日本周辺では、寒波や大雪、あるいは異常高温など、さまざまな極端現象が発生します。これらはしばしば、ユーラシア大陸上空を伝わる亜熱帯ジェット気流の蛇行と関連します。亜熱帯ジェット気流の蛇行を生み出す主な二つの要因として、これまで北大西洋ヨーロッパ域の大気循環と熱帯インド太平洋の対流活動がそれぞれ知られていました。しかし、両者の組み合わせがジェット気流の蛇行にどのような影響を与えるのかは明らかになっていませんでした。

 本研究チームは、両者が重なって影響が大きくなる場合もあれば、逆に弱め合って影響を打ち消す場合もあるのではないかと考えて研究に取り組みました。そして、過去76年間の全球大気データと数値実験を用いて、二つの要因の複合的な影響とそのメカニズムを調べました。

 その結果、予想通り、両者の位相の組み合わせによって、ジェット気流の蛇行が強められる場合と弱められる場合があることが分かりました。強め合う場合、ジェット気流の蛇行は大きな振幅を持って日本まで伝わり、冬の寒さが強まります。一方、弱め合う場合、蛇行はユーラシア大陸の途中で弱まり、日本付近への影響は小さくなります。このことは、遠く離れた北大西洋ヨーロッパ域の大気循環と熱帯インド太平洋の影響が"同時にそろうかどうか"が、日本の冬の厳しさを左右する鍵であることを示しています。

 本研究の成果は、異常気象や極端現象の発生メカニズムの力学的理解を深化させるとともに、季節予報の精度向上に貢献することが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球 生命環境系
植田 宏昭 教授

掲載論文

【題名】
How interference between the North Atlantic Oscillation and the tropical Indo-Pacific convection modulates wave trains along the subtropical jet: Impacts on the Asian winter climate.
(NAOと熱帯インド太平洋の対流の干渉はどのように亜熱帯ジェットに沿った波列を変調するか―冬季アジアの気候への影響―)
【掲載誌】
Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society
【DOI】
https://doi.org/10.1002/qj.70222

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