医療?健康
【Nature Index Selection】細胞外マトリクスを介した新しいメカノトランスダクション機構を発見 ?血管疾患への新たな治療法開発への期待?(Research highlights 2021年5月)
シュプリンガー?ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2021年5月は、本件が紹介されました。
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血管壁は絶えず血圧や血流による血行力学的応力にさらされており、その制御機構の破綻が血管疾患の根本原因ではないかと注目されていますが、その制御メカニズムの詳細は明らかになっていないのが現状です。本研究グループはまず、ラット血管平滑筋細胞を用いて、周期的伸展刺激によって分泌されるタンパク質を網羅的に解析し、Thbs1を同定しました。分泌されたThbs1は細胞膜上のintegrin αvβ1に結合し、接着斑の活性化やアクチンフィラメントの配向といった伸展刺激応答を制御することを見出しました。加えて、伸展刺激におけるYAPの核内移行は、Thbs1/integrinに依存し、Rap2の不活性化を伴って制御されていること、さらに、Thbs1/integrin/YAPのシグナル伝達経路は、血管圧負荷や狭窄に伴う新生内膜形成時の血管リモデリングに重要な働きを示すことを明らかにしました。本研究は、メカニカルストレス応答に関与する細胞外マトリクスの役割とその制御が、様々な血管疾患の根本原因である可能性を示唆するものであり、今後、細胞外マトリクスを標的とした新たな治療法開発の展開が期待されます。
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