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末梢性T細胞リンパ腫発症に関与する遺伝子を発見

(Image by Gorodenkoff/Shutterstock)

血液のがんである悪性リンパ腫は、病理学的特徴や分子病態などにより多くの種類に分類されますが、近年のゲノム解析の進展に伴ってさらに細分化され、それぞれに特有の遺伝子変異が明らかにされつつあります。本研究グループは、悪性リンパ腫のうち末梢性T細胞リンパ腫のゲノム異常を解明し、これまでに、VAV1遺伝子から作られるタンパク質の一部が欠損(V-Del)したり、末端の特定部位が別の遺伝子に置き換わる変異(V-Fus)が生じていることを明らかにしています。

本研究では、このゲノム異常情報(V-DelおよびV-Fus)を持つマウス(末梢性T細胞リンパ腫の亜型)に対して、腫瘍抑制因子(タンパク質)をコードする遺伝子を欠損したモデルマウスを作製したところ、成熟していないT細胞の腫瘍である T細胞性リンパ芽球性リンパ腫と、成熟したT細胞の腫瘍である末梢性T細胞リンパ腫の2種類が発症しました。またこのとき、ヒトにおける末梢性T細胞リンパ腫と同様に、CCR4遺伝子やMYC遺伝子が高発現していました。このことから、VAV1遺伝子の変異がMYC遺伝子やCCR4タンパク質などの発現に影響を及ぼし、 T細胞性リンパ芽球性リンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫の亜型の発症に関与していることがわかりました。

これらの腫瘍を発症したマウスには、MYCの発現を抑制する薬剤が治療に有効であり、さらに、成人T細胞白血病や、CCR4タンパク質を発現している再発?難治性の末梢性T細胞リンパ腫の治療ですでに使用されている薬剤モガムリズマブ(抗CCR4抗体)が、VAV1変異を生じた腫瘍細胞の治療薬として有望であることも示されました。

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プレスリリース

研究代表者

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千葉 滋 教授

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