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糖尿病発症初期の新しい分子機序を解明

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(Image by sciencepics/Shutterstock)
 糖尿病モデルマウスの膵島の単一細胞レベルでの遺伝子発現解析により、糖尿病発症初期の膵β細胞では血糖値の上昇に伴いAnxa10の発現が増加すること、増加したAnxa10は細胞内カルシウム恒常性に影響を及ぼし、インスリン分泌能を低下させることを見いだしました。

 糖尿病の大部分を占める2型糖尿病は、肥満などによるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)と、それに対する膵臓のβ細胞の代償性インスリン分泌の破綻(膵β細胞機能不全)および膵β細胞量の減少が関与すると考えられています。しかし、その病態や発症機序は未だ不明な点が多く残されています。


 本研究では、2型糖尿病の発症過程における、健常から未病状態、糖尿病発症へ進展する際の膵島(膵臓でインスリンを作る組織)の構成細胞の変化を明らかにするために、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの膵島の単一細胞レベルでの遺伝子発現解析を行いました。その結果、β細胞、α細胞、δ細胞、PP細胞、マクロファージ、血管内皮細胞、膵星細胞、導管細胞、膵腺房細胞など20種類の細胞クラスターを同定しました。また、糖尿病モデルマウスの膵β細胞は病態の進行に伴って6種類のクラスターに分類され、擬時間解析により、膵β細胞が脱分化後に膵腺房様細胞に分化転換するという新規の経路を明らかにしました。さらに、糖尿病発症初期の膵β細胞で特異的に発現が増加する遺伝子としてAnxa10を同定し、Anxa10の発現は膵β細胞内カルシウムの上昇によって誘導され、インスリン分泌能を低下させることを明らかにしました。


 これらの知見は、2型糖尿病の特に発症初期の分子機序の解明や新規の予防?診断?治療法の開発に貢献すると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
島野 仁 教授

東京理科大学生命医科学研究所
松島 綱治 教授

長浜バイオ大学アニマルバイオサイエンス学科
小倉 淳 教授


掲載論文

【題名】
Single-cell transcriptome profiling of pancreatic islets from early diabetic mice identifies Anxa10 for Ca2+ allostasis toward β-cell failure.
(糖尿病初期マウスの膵島の単一細胞トランスクリプトームプロファイリングによる、β細胞不全を導くCa2+アロスタシス因子Anxa10の同定)
【掲載誌】
Diabetes
【DOI】
10.2337/db23-0212

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