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生きた細胞内で小胞の動きを可視化し、2種類の小胞融合機構を発見

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(Image by J. Marini/Shutterstock)
 マウス胚を包む卵黄嚢の細胞を用いて、細胞内で物質の輸送などを行う小胞を蛍光物質で標識し、これが融合する過程を可視化する技術を開発しました。これにより小胞の融合過程を観察したところ、融合には2つの異なる様式があること、また、その制御に細胞骨格アクチンが関与することを見いだしました。

 細胞は、外界から物質を取り込み、エンドソームと呼ばれる小胞に包んで細胞内を輸送します。輸送過程で、小胞は、小胞同士、あるいは他の細胞内小器官と融合しますが、多くの細胞ではそのサイズが小さいために融合過程を観察することが難しく、その制御機構はよく分かっていませんでした。


 本研究では、マウス胚の一番外側にある臓側内胚葉細胞に着目し、蛍光物質でエンドソームを標識することにより、顕微鏡下でその融合過程を観察することに成功しました。これにより、エンドソームの融合には、2つのエンドソームが急速に融合して1つの小胞になる「同型融合」と、リソソームにゆっくりと吸収される「異型融合」の2種類の様式があることを見いだしました。膜の力学モデルを用いて小胞融合過程の数理解析を行ったところ、小胞のサイズが融合様式を決めており、小胞が小さい時は同型融合が、小胞が大きくなると異型融合が起こること、また、小胞の膜にゆらぎの力を作用させると、大きなサイズでも同型融合が起こることが分かりました。エンドソームにはアクチンと呼ばれる細胞骨格タンパク質が結合しており、アクチンが同型融合を促進するゆらぎの力を発生させていると考えられました。さらに、アクチンのターンオーバーを促進するコフィリンや、アクチンと相互作用するミオシンも小胞融合に重要であることが明らかになりました。この観察系を用いることにより、細胞内小胞の融合や輸送の過程を制御する仕組みを解明できると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
桝 正幸 教授

富山大学学術研究部工学系
小池 誠一 特命助教

横浜市立大学理学部
立川 正志 准教授

自然科学研究機構生命創成探究センター/生理学研究所
根本 知己 教授

掲載論文

【題名】
Actin dynamics switches two distinct modes of endosomal fusion in yolk sac visceral endoderm cells
(アクチンのダイナミクスが卵黄嚢臓側内胚葉細胞における2つの異なるエンドソーム融合様式を切り替える)
【掲載誌】
eLife
【DOI】
10.7554/eLife.95999

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