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視線パターンからAIで認知症の原因疾患を鑑別する診断支援ツールを開発

研究イメージ画像
(Image by Bonsales/Shutterstock)
 200枚の日常生活シーン画像に対する認知症患者と健常者の視線パターンを計測し、体系的な解析?比較を行ったところ、二つの認知症原因疾患にそれぞれ固有の視線パターン変化を発見しました。これらの視線パターン変化から、AIで認知症原因疾患を高精度に検出?鑑別する診断支援ツールを開発しました。

 何に注意を向け、何を見るか――視線パターンは、物体の認識や記憶、言語理解に及ぶ多様な日常の活動で重要な役割を果たします。認知症においても、注意機能低下に伴う視線パターンの変化が報告されています。しかし、これらの研究では、視覚刺激として主に円などの単純な幾何学図形が使われており、日常生活シーンを対象としたものはありませんでした。

 本研究では、200枚の日常生活シーン画像を用い、認知症の主たる原因疾患であるアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の認知症例と健常例の視線パターンを計測し、体系的に解析?比較しました。その結果、原因疾患に応じた二つの固有の視線パターン変化を世界で初めて発見しました。一つ目は、いずれの認知症例とも健常例と比較して、シーン中の少数の場所を見る傾向が強くなり、視覚的な探索の程度が減少しましたが、この減少の程度は、アルツハイマー型認知症例では認知機能低下と、レビー小体型認知症例では運動機能低下と、それぞれ相関していました。二つ目は、アルツハイマー型認知症例では文字や標識等の視覚提示物への注意が減少することで、レビー小体型認知症例では画像中心を見る程度が増加することで、いずれも人や物体を見る程度が減少しました。

 さらに、これらの視線パターン変化を学習させたAIモデルによって、二つの認知症を高精度に検出?鑑別できるツールを開発しました。自由に画像を見るだけという簡便さは、重度の認知症例や異なる言語圏でも適用でき、認知症の早期発見?早期介入対策の一助となると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
新井 哲明 教授

掲載論文

【題名】
Distinct eye movement patterns to complex scenes in Alzheimer's disease and Lewy body disease.
(アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症における固有の視線パターン変化)
【掲載誌】
Frontiers in Neuroscience
【DOI】
10.3389/fnins.2024.1333894

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