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大学野球選手の上腕動脈における生理的な適応を解明

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(Image by Artur Didyk/Shutterstock)
 大学野球選手を対象に、運動誘発性の動脈適応(競技特性に伴う動脈の構造や機能の変化)について、投手と野手に分けて詳細な調査を行いました。その結果、特に、野球投手の上腕動脈において、利き腕と非利き腕の間に非対称的な運動誘発性の適応が生じている可能性が明らかになりました。

 アスリートの動脈では、競技の特性に伴ってその構造や機能に合目的な適応が引き起こされます。例えば、野球選手の場合、日々の練習や試合において強度の高い投球動作を繰り返し行っていることから、特に利き腕の上腕動脈において、何らかの運動誘発性の生理的な適応が生じていると考えられます。しかし、このことについては、これまであまり調べられていませんでした。そこで本研究では、大学野球選手を対象に、運動誘発性の動脈適応について詳細な調査を行いました。

 大学硬式野球部に所属する男性投手34名、男性野手41名および運動習慣のない若年男性23名を対象に、利き腕および非利き腕における上腕動脈の直径?血流速度?血流量などを測定しました。その結果、投手と野手の利き腕と非利き腕では、運動習慣のない若年者のそれと比較して、上腕動脈の直径と血流量が統計学的に有意に高値を示しました。一方、利き腕と非利き腕における上腕動脈径の比較では、投手においてのみ統計学的な有意差が認められました。こうした傾向は、体表面積または上腕の除脂肪量で補正した上腕動脈径を用いた場合でも同様でした。

 これらの結果は、野球投手の上腕動脈において、利き腕と非利き腕の間に非対称的な運動誘発性の動脈適応が生じている可能性を示しています。こうしたアスリート特有の生理的な動脈適応の特徴を理解することは、効果的なトレーニング戦略の立案や内科的なスポーツ障害の予防策の確立に大きく貢献すると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

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小﨑 恵生 助教

掲載論文

【題名】
Brachial arterial adaptations in college baseball players: Differences between pitchers and fielders.
(大学野球選手の上腕動脈における生理的な適応を解明)
【掲載誌】
Journal of Science and Medicine in Sport
【DOI】
10.1016/j.jsams.2024.12.008

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