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医療者からの眼科受診勧奨を認識した患者は網膜症検査実施率が高い

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(Image by Arnon Thongkonghan/Shutterstock)
 医療者から眼科受診を勧められた認識を持つ糖尿病患者は、糖尿病網膜症の検査を受ける割合が高く、また望ましい眼科受診頻度を正しく理解している人の割合も高いことが明らかとなりました。眼科受診勧奨を患者が正しく認識することが、適切な眼科受診行動につながる可能性があります。

 糖尿病網膜症は失明の原因となりうる糖尿病の主要合併症の一つです。日本の糖尿病診療ガイドラインでは、少なくとも年1回の糖尿病網膜症を調べる眼底検査が推奨されていますが、国内の糖尿病患者の眼科受診率は半数に満たないという報告があります。

 本研究チームは、眼科受診に対する患者の認識が眼底検査の実施率に影響していると考え、茨城県つくば市が2022年度に国民健康保険加入者を対象に実施した「糖尿病に関するアンケート調査」の結果を、同市の了承を得た上で二次利用し、質問票の回答とレセプト?健診データを連結した匿名データを用いて横断解析を行いました。その結果、糖尿病を自覚するアンケート回答者290人のうち、医療者から眼科受診を勧められたと認識している群は認識がない群と比べて、眼底検査の実施率が2倍以上高いことがわかりました(72.9%対30.1%)。さらに、眼科受診を勧められたと認識している群では、正しい眼科受診頻度を知っている割合も高い傾向を認めました。

 これらの結果から、糖尿病患者に対して医療者が眼科受診を勧め、患者の眼科受診に関する認識や理解を高めることが、眼科受診、眼底検査実施を促進するために重要であることが示唆されました。本研究の知見は、医療機関および行政機関において、患者の眼科受診意識を高める多面的な啓発活動や情報発信の強化に活用されることが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系/ヘルスサービス開発研究センター
杉山 雄大 教授
(国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長を併任)

東京大学大学院医学系研究科代謝?栄養病態学
山内 敏正 教授

掲載論文

【題名】
Recognition of ophthalmology consultation and fundus examination among individuals with diabetes in Japan: A cross-sectional study using claims-questionnaire linked data
(糖尿病患者における眼科受診勧奨を受けた認識と眼底検査の関連:アンケート-レセプト突合データを用いた横断解析)
【掲載誌】
Diabetes, Obesity and Metabolism
【DOI】
10.1111/dom.16164

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