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膠芽腫の第Ⅱ相臨床試験における有効性評価項目の変化とその要因を解明

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(Image by Webum/Shutterstock)
 脳腫瘍の膠芽腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験の主要評価項目の変化を調べました。近年は、項目が多様化し、生存期間など時間的な指標が多く採用される一方、がんが縮小した患者の割合を示す奏効割合の採用は減っていました。試験の設計がより包括的で臨床現場に即したものに変化していると考えられます

 臨床試験は主に薬の有効性や安全性の確認を目的に行われます。がんの早期臨床試験の場合、一般的に固形腫瘍の効果判定基準に基づいた奏効割合(ORR)が、標準的な有効性の評価項目(エンドポイント)として使われています。しかし、悪性度が高い脳腫瘍の膠芽腫(GBM)については、周囲の脳に浸み込むように広がるなど特殊な生物学的特性から、固形腫瘍の効果判定基準による評価が不適切な場合が多く、異なる指標が採用されてきました。

 本研究では、2020-2022年度に世界で実施された膠芽腫(GBM)の第II相臨床試験で設定された有効性エンドポイントの傾向を分析し、過去のデータ(2017-2019年度)と比較しました。その結果、2020~2022年度は計88件の試験で延べ101件の主要評価項目(PE)が設定されており、がんの進行抑制や患者の生存期間を測定する時間的な指標が以前よりも多く採用されるようになったことが判明しました。特に、被験者の無増悪生存期間(PFS)は22%、全生存期間(OS)は20%、PFS率は17%の試験でPEとして用いられており、最も一般的に選択されていました。一方で、ORRがPEとなっていたのはわずか8%で、2017-2019年度の20%と比較して有意に減少していました。これらの結果から、有効性エンドポイントの設定がORRからPFSやOSへと移行する傾向が明らかになりました。さらに、試験全体におけるPEの種類が多様化しており、特定の評価基準に偏らず、複数のエンドポイントを組み合わせた試験デザインへと変化していることも確認できました。

 本研究が明らかにしたこれらの傾向は、膠芽腫の治療評価の複雑さを反映するとともに、臨床試験の設計がより包括的で実際の臨床に即したものへと進化していることを示すと考えられます。

本研究の結果が臨床試験デザインの指針として活用されることで、GBMの治療評価における課題を克服し、より臨床的に有用な指標を確立するための重要なステップになることが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
渡邉 真哉 講師

掲載論文

【題名】
Trends in Efficacy Endpoints in Phase II Glioblastoma Trials: A Regulatory Science Analysis (FY2020-FY2022)
(膠芽腫の第 II 相試験における有効性エンドポイントの傾向: 規制科学的分析 (2020年度 - 2022年度)
【掲載誌】
Cancers
【DOI】
https://doi.org/10.3390/cancers17050855

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