医療?健康
長時間の座位は周囲の温度によらず皮膚血管拡張能を低下させる

「座りすぎ」は心血管疾患の発症リスクを高めることが知られており、これに先行して皮膚血管機能の低下が生じる可能性があります。本研究では、長時間の座位が前腕の皮膚血管拡張能を低下させる一方、このような血管機能の変化は、周囲温度の冷却と加温の交互曝露とは関連しないことを示しました。
日本人の1日の座位時間は約7時間と世界で最も長く、「座りすぎ」は心血管疾患リスクを高めることが知られています。近年、本研究グループは、皮膚温を一定に保った状態での長時間座位が、皮膚の血管拡張機能を低下させること、また局所的な温冷刺激の繰り返しがその変化を抑えることを報告しました。
今回、より実生活に近い環境を想定し、一定温度下、および室内温度の冷却?加温の交互曝露下における長時間の座位が、それぞれ前腕の皮膚血管機能に及ぼす影響を検討しました。明らかな疾患のない若年男女12名を対象に、25℃の室温で120分座位安静を行う条件と、空調機器を用いて18℃と35℃の室温を交互に繰り返す条件とで、皮膚血管機能の変化を比較しました。
その結果、長時間の座位により皮膚血管の拡張能は低下し、収縮能はむしろ向上することが確認されました。一方で、冷却と加温の交互曝露によって、こうした血管機能の変化は有意に抑制されないことが明らかとなりました。
このことは、座りすぎによる血管機能低下への対策として、周囲温度の温冷刺激では十分ではないことを示しており、皮膚の局所温度をより大きく変動させるなど、より効果的な介入方法の開発が求められます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
狗万app足彩,狗万滚球体育系藤井 直人 准教授
宮崎公立大学人文学部国際文化学科
田川 要 講師
掲載論文
- 【題名】
-
Sustained sitting attenuates cutaneous reactive hyperemia while improving venoarteriolar reflex, and alternating ambient exposure to cool and heat does not modulate these responses
(持続的な座位は皮膚の反応性充血を減弱させ、静動脈反射を増強させるが、周囲の冷却および加温の交互曝露はこれらの反応に影響を及ぼさない) - 【掲載誌】
- European Journal of Applied Physiology
- 【DOI】
- 10.1007/s00421-025-05870-7
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