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食中毒の原因菌サルモネラの感染過程で酸性環境への適応と代謝の切り替えを連動させるRNA断片を発見

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(Image by Design_Cells/Shutterstock)
 食中毒原因菌のサルモネラは、免疫細胞のマクロファージの内部でアルギニン脱炭酸酵素を発現して酸性環境に対応します。今回、この酵素遺伝子のmRNAの非翻訳領域から生成されたsmall RNAがサルモネラの代謝に関与する複数のmRNAと塩基対を形成し、その発現を制御することを発見しました。

 生物の遺伝情報であるDNAの塩基配列はmRNAに転写され、その情報を基にタンパク質が翻訳される。1958年にクリックが提唱したこのセントラルグマにおいて、mRNAは単に遺伝情報の鋳型としてみなされてきました。しかしその後、mRNAが小さなRNA(small RNA)を生み出し、他のmRNAと塩基対を形成して、遺伝子発現を転写後の段階で制御していることが解き明かされてきました。

 サルモネラは、免疫細胞のマクロファージに貪食されても、その細胞内で増殖することができる通性細胞内寄生細菌です。マクロファージ内に入ったサルモネラはその周囲に小胞を形成します。この小胞はpH5程度の酸性で、酸素濃度が低く、利用できる栄養源も限られています。サルモネラはアミノ酸の一種のアルギニンを脱炭酸して細胞外に排出することで自身の細胞内部を中性に保つことができますが、マクロファージ内でどのように代謝を切り替えるのか分かっていませんでした。

 本研究では、サルモネラのアルギニン脱炭酸酵素AdiAが酸性環境で発現する際に、そのmRNAの翻訳されない部分からsmall RNAが切り出されることを見いだしました。詳しく解析した結果、このsmall RNAは、サルモネラの代謝系(解糖系、糖輸送、嫌気呼吸)に関与する遺伝子のmRNAと相補的に結合して塩基対を形成し、それらの発現を抑制することが明らかになりました。さらに、サルモネラのゲノム中の塩基対形成部位に変異を導入して塩基対形成を阻害したところ、サルモネラのマクロファージ内での増殖やマウスへの病原性が低下することが分かりました。

 本研究グループではこれまでも、細菌mRNAの翻訳されない部分から新しい機能を持つRNAが生成されることを明らかにしています。今回の成果は、多くの病原性細菌のゲノムにまだ多くの機能性RNAが隠れている可能性を示唆しており、細菌感染症の抑止に貢献することが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
宮腰 昌利 准教授

ヴュルツブルク大学/ヘルムホルツ感染研究センター(HIRI)
神田 健 日本学術振興会海外特別研究員

掲載論文

【題名】
3′UTR-derived small RNA couples acid resistance to metabolic reprogramming of Salmonella within macrophages.
(3′非翻訳領域由来small RNAがサルモネラのマクロファージ内での酸耐性を代謝再編成と連動させる)
【掲載誌】
Nucleic Acids Research
【DOI】
10.1093/nar/gkaf1371

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