社会?文化

非対称な多重ネットワークにおける協力進化の新しいケースを発見

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(Image by REDPIXEL.PL/Shutterstock)
 協力行動の進化のメカニズムについて、個体間の競争(相互作用)と学習(戦略更新)の範囲の非対称性を多重ネットワークで表現し、多様なシナリオをシミュレーションで検証しました。その結果、従来の研究とは逆の、非対称性が協力行動を促進しうる新しいケースを明らかにしました。

 協力行動は、私たちの社会の基盤を形成する要素の一つです。しかし、その進化のメカニズムは、まだ完全には解明されていません。近年、人間の社会的なつながりの特徴を捉えるモデルとして「多重ネットワーク」が注目されており、先行研究では、協力進化の2つの主要なプロセス、「競争(相互作用)」と「学習(戦略更新)」が、同じパートナーと行われる、すなわち、対称的である場合ほど、協力の進化が促進されることが示されています。


 本研究では、多重ネットワークを用いて、協力行動が集団に広まっていく仕組みを分析しました。相互作用の相手選びの範囲と戦略更新の相手選びの範囲に関する対称性に焦点を当て、多様なシナリオをマルチエージェントシミュレーションで検証しました。その結果、これまでの研究とは逆の、非対称性が協力の進化を促進する新しいケースが存在することを明らかにしました。


 この発見は、あるグループ内で協力行動を広めようとする場合、競争と学習を異なるパートナーと行う非対称的なアプローチが効果的なケースもあり得ることを示唆しています。今後、本研究結果を、人類学?経済学?社会心理学など社会科学分野の研究と結びつけ、協力の進化に関する研究が更に深められ展開していくことが期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

稲葉 理晃 (理工情報生命学術院システム情報工学研究群 博士後期課程)

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秋山 英三 教授

掲載論文

【題名】
Evolution of cooperation in multiplex networks through asymmetry between interaction and replacement
(相互作用と戦略更新の非対称性による多重ネットワークにおける協力の進化)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
10.1038/s41598-023-37074-4

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