テクノロジー?材料
電気伝導性と応答速度を両立する新しいゲル状電気化学トランジスタを開発
(Image by lunamarina/Shutterstock)
山本 洋平 教授
櫛田 創 日本学術振興会特別研究員
トランジスタはPCやスマートフォンなどの電子機器などに組み込まれている、電流のオン/オフを制御する重要な素子です。実用化されているトランジスタの大半は、シリコンなどの硬い無機材料で作られており、少ないエネルギーで安定的に動作しますが、近年は、より幅広い用途に対応できる、柔軟性を持つフレキシブルデバイスの開発が進められています。その一つに、有機材料を用いたトランジスタがありますが、流すことができる電流の量が少ないことが欠点です。これを解決するデバイスとして登場した、有機電気化学トランジスタ(OECT)は、従来の有機トランジスタよりも、千倍以上の電流を流すことができますが、電流のオン/オフが切り替わる際の応答速度が非常に遅いという課題がありました。
このような電気化学トランジスタの問題を克服するため、今回、本研究グループは、幅数十ナノメートルの有機半導体ナノファイバー中に、その100倍の重量比のイオン液体を取り込んだゼリー状材料「πイオンゲル」を、電極上にのせるだけで機能する、新しい電気化学トランジスタ「PIGT」(π-ion gel transistor)の開発に成功しました。これにより、これまでに報告されている蓄積モード電気化学トランジスタと比較して、約50分の1の20マイクロ秒以下という世界最高速の応答性と、非常に大きな電気伝導性の両立を実現しました。このデバイスは、作製プロセスの簡便さとゲル特有の柔軟さから、フレキシブル電子デバイスへの応用が期待されます。
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プレスリリース研究代表者
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櫛田 創 日本学術振興会特別研究員