医療?健康

薬剤師のコミュニケーションスキルは医師が処方する薬剤数の削減に寄与する

研究イメージ画像
(Image by Gorodenkoff/Shutterstock)
 アサーティブネス(他者を尊重しつつ率直に自己表現をするコミュニケーションスタイルで、教育可能なスキルとされます)は、医療の安全性向上に有用とされてきました。本研究では、薬局薬剤師のアサーティブネスが、安全な薬物治療を目的とした処方の適正化と関連することを明らかにしました。

 必要以上の薬を飲むことで副作用や薬物間相互作用のリスクが高まった状態をポリファーマシーと呼びます。特に、多くの疾患を抱えがちな高齢者は、服用する薬の数が増えることがあります。このため、薬剤数の削減や代替薬の使用など処方の適正化によるポリファーマシーの解消が重要な課題となっています。

 薬剤師は医師が発行する処方箋に基づいて薬物を患者に提供します。その際には、安全な薬物治療を行うため、患者からの聞き取りや記録、検査情報などを基にして、医師に処方の変更を提案することがあります。しかし、医師とのコミュニケーションがうまくいかないと、薬剤数の削減など処方の適正化はなかなかスムーズには進みません。

 本研究では、日本の薬局で働く薬剤師にアンケートし、そのアサーティブネス(他者を尊重しつつ率直に自己表現をするコミュニケーションスタイル)を評価しました。そして、自らが医師に提案したことによる薬剤数削減の経験が過去1年間にあるかどうかとの関連を調べました。アサーティブネスは①自己を後回しにする非主張的な自己表現、②自身の考えを押し付ける攻撃的な自己表現、③それらのどちらでもなく相互理解を深めようとするアサーティブな自己表現、の三つの要素で評価しました。解析の結果、アサーティブな自己表現が高い薬剤師ほど自身の提案による薬剤数の削減を経験していたことが分かりました。非主張的な表現や攻撃的な表現については、薬剤数の削減の経験との関連は認められませんでした。

 本研究により、薬局薬剤師のアサーティブネスが、医師が処方する薬剤数削減の決定と関連していたことが示されました。アサーティブネスは教育が可能なコミュニケーションスキルと言われています。今後、薬剤師がアサーティブネスを身に付けることで、患者さんの薬物治療の安全性が向上するかどうかを検証することが求められます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

狗万app足彩,狗万滚球医学医療系
小曽根 早知子 講師

掲載論文

【題名】
Assertiveness in community pharmacists and their experience of pharmacist-led deprescribing: A cross-sectional study
(薬局薬剤師のアサーティブネスと薬剤師の提案による減薬:横断研究)
【掲載誌】
Research in Social and Administrative Pharmacy
【DOI】
10.1016/j.sapharm.2025.03.002

関連リンク

医学医療系