理工情報生命学術院は、数理?自然科学と工学?情報?社会技術に関わる諸問題を基礎から応用に至る様々な側面において教育?研究することを目的として、狗万app足彩,狗万滚球2年度に大学院研究科の改組?再編により旧組織である数理物質科学研究科、システム情報工学研究科、生命環境科学研究科を基礎とした「数理物質科学研究群」、「システム情報工学研究群」及び「生命地球科学研究群」の3研究群による組織として設置されました。旧組織において分散されていた理学分野、工学分野、情報分野、バイオテクノロジー分野、AI分野などが一つの学術院になることにより分野間の交流を円滑にして、科学に共通する常識を身につけ、基礎、専門知識を効果的に習得でき、かつ社会の発展に柔軟に対応できる多角的な教育システムを構築しました。このことにより、研究群を越えた関連分野の授業履修やインターンシップ、研究指導(副指導)等が可能となり、科学技術の急速な進展に対応した人材の育成を実現しています。
なお、旧組織の生命地球科学研究科に設置されていた国際連携持続環境科学専攻は、現行の制度上、専攻相当の組織として設置が必要なことから引き続き、本学術院の下にマレーシア日本国際工科院との国際連携教育課程による専攻として設置されています。
理工情報生命学術院長からのメッセージ
この長い名前の学術院は、わかりやすく言えば理学部、工学部、農学部の大学院の合併のようなものです。筑波大は、なんでこんな大きな連合組織をつくるのか少々考えてみましょう。
コロナ禍の長い閉塞期間があけ、やっと明るい未来がくるかと皆が期待していました。しかし残念なことに現在私たちが直面している世界は、混沌、混乱、紛争と戦争であふれています。ミトコンドリアDNA 解析の発展により、人類の共通祖先はアフリカ大陸で生まれたことは現在定説となっています。人類は一か所で生まれ地球全体に広がり、そして今、全く会話の成立しない諸集団や国家に分かれて殺し合いをしているのです。人類とはなんと愚かな生物なのでしょう。
さて、科学とはなんでしょう。Science のSci は語源をたどると細かく切ることを意味しハサミ(scissers)と共通なのだそうです。創造的な科学的発見を行うことは実際には事象を細かく刻んで、細部の細部を見つめることから始まります。視野を狭くし神経を集中し雑音を排し、真の発見に至るのが私たちのやり方です。これは科学の方法の本質であり変えられません。
しかし一方で創造と発展の多くが事物の境界でうまれます。私たちはもっともっと会話をしなければなりません。会話により問題の本質があぶりだされ、あるいは、解決の糸口が見つかる場合もあります。会話は分野間、職種間を問わず必要です。大学内だけに限ってもそんなに簡単ではありません。分野を超えた教員の会話も、教員、院生、学生、職員間の会話もとても大事です。私たちは現在、世界の混沌に直面し、いまよりも広い範囲での分野や職種を超えた会話をする必要にせまられています。このような会話は、たとえば上述の人類の起源のように、科学者が世界に貢献する一助になるかもしれません。
科学者は、切断されたほんの一部しか知りませんし、そういう人のことを私たちは科学者といいます。私たちはそのことをより深く自覚して会話をしましょう。これが巨大な大学院の連合組織をつくる意味だと私は思っています。